内分泌疾患(甲状腺疾患含む)
内分泌疾患(甲状腺疾患含む)

内分泌疾患とは、体の中のさまざまな機能を調節する「ホルモン」のバランスが崩れることで起こる病気です。
ホルモンは、血液の流れに乗って全身に運ばれ、代謝や成長、生殖、ストレスへの反応などをコントロールしています。特に甲状腺は、のどぼとけの下にある小さな臓器で、全身の代謝を活発にする「甲状腺ホルモン」を作っています。このホルモンが多すぎたり少なすぎたりすると、心身に様々な不調が現れます。当院では、血液検査や超音波(エコー)検査を通じて、甲状腺ホルモンの乱れを正確に診断し、適切な治療を提供します。
甲状腺以外にも、下垂体疾患や副腎疾患についてスクリーニング検査を行い、精査が必要な方は高度医療機関にご紹介いたします。術後の方やホルモン補充療法等の治療を既に開始されている方で、病状が安定されている場合は当院で治療を継続していただくことも可能です。
甲状腺は、のどぼとけのすぐ下にある重さ15〜20g程度の小さな臓器で、全身の代謝を活発にする「甲状腺ホルモン」を分泌する重要な役割を担っています。甲状腺ホルモンは、心拍数や体温の調節、エネルギーの消費、成長や発達に関与しており、血液中のホルモン濃度が適切に保たれることで心身の健康が維持されます。
甲状腺のホルモン分泌が増加する代表的な病気にはバセドウ病などがあります。逆に低下する病気には橋本病(慢性甲状腺炎)などがありますが、その他の原因があることもあり、いずれも適切に診断し治療することが大切です。
バセドウ病
バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰に作られることで全身の代謝が異常に高まる病気です。
主な症状として、動悸、多汗、手の震え、体重減少、暑がりになる、イライラしやすくなるといった特徴があります。また、眼球が突出するなどの眼症状が現れることもあります。自分の甲状腺にあるTSH受容体を攻撃してしまう「自己抗体」ができることが原因となる自己免疫疾患で、20〜40代の女性に多く発症する傾向があります。
治療は薬物療法(メチマゾール、プロピルチオウラシル)を第一選択とすることが一般的ですが、病状に応じ放射線治療(アイソトープ治療)や手術療法も選択肢となります。
亜急性甲状腺炎
甲状腺に炎症が起き、組織が破壊され甲状腺ホルモンが血中に流れ出て甲状腺機能亢進症を起こす病気です。
ウイルス感染後に起こることが多く、風邪症状の後に前頚部の痛みや発熱、甲状腺機能亢進による症状(動悸、多汗、手の震え等)などの症状が出現します。抗炎症薬の投与や、必要に応じステロイド(副腎皮質ホルモン)による治療を行います。
無痛性甲状腺炎
何らかの原因により甲状腺に炎症が起こり、組織が破壊され甲状腺ホルモンが血中に流れ出て甲状腺機能亢進症を起こす病気ですが、亜急性甲状腺炎と違い痛みを伴うことはありません。
出産やストレス、薬などが原因は様々で、橋本病の方に起こることが多いものの、橋本病でない方でも起こります。数ヶ月~半年程度で自然に治ることが多いため、バセドウ病との鑑別が非常に大切です。症状が強い場合には対症療法を行います。
橋本病(慢性甲状腺炎)
やはり甲状腺に対する自己抗体が原因となる自己免疫疾患です。甲状腺に慢性的な炎症が起こり、甲状腺ホルモンの分泌が不足する状態を引き起こします。
全身の代謝が低下するため、体がだるい、むくみ、体重増加、寒がり、便秘、肌の乾燥、気力の低下(うつのような症状)などが現れます。30~40代の女性に多くみられます。更年期障害やうつ病と症状が似ているため、血液検査によるホルモン測定が正確な診断の鍵となります。治療は甲状腺ホルモンの補充療法を行います。
橋本病をお持ちの方であっても甲状腺機能が正常な場合も多く、その場合は治療は必要ありませんが、後々機能低下を起こすことがあるため定期的な経過観察が必要です。
甲状腺腫瘍
甲状腺の中に「しこり」ができる状態で、大きく分けて良性腫瘍と悪性腫瘍(がん)があります。多くの場合は自覚症状に乏しいため、健康診断や他の病気の検査の際に偶然発見されることが少なくありません。
首の腫れや違和感がある場合には、超音波(エコー)検査でしこりの有無や状態を確認することが可能ですのでご相談ください。
悪性腫瘍が疑われる場合には針を刺して細胞を検査する穿刺吸引細胞診(FNAC)が推奨されますが、当院では行えないため、実施可能な医療機関にご紹介させていただきます。
下垂体は、頭蓋骨の中で脳の中心から垂れ下がるように存在する内分泌器官で、全身のホルモン分泌をコントロールする「ホルモンの司令塔」のような役割を果たしています。前葉と後葉からなり、前葉からは、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、成長ホルモン(GH)、性腺刺激ホルモン(LH/FSH)、プロラクチン(PRL)が、後葉からは抗利尿ホルモン(バゾプレシン)とオキシトシンが分泌されています。
下垂体に腫瘍ができたり(下垂体腺腫による先端巨大症、クッシング病、プロラクチン産生腫瘍等)、免疫の異常などで炎症を起こしたり(下垂体炎)、血管が詰まったり出血したり(下垂体卒中)、出産時の大量出血などが原因で(シーハン症候群)、これらの下垂体ホルモンの異常を起こすことがあります。また下垂体腫瘍の術後や頭部外傷などで下垂体ホルモンが低下し(下垂体前葉機能低下症、成人成長ホルモン分泌不全症、中枢性尿崩症)、生涯に亘り補充療法が必要となる場合もあります。
当院での検査の結果これらの疾患が疑われる場合には、ホルモン負荷試験などの精査が可能な医療機関へご紹介させていただきます。ホルモン補充療法などで病状が落ち着いている場合には当院での治療継続が可能です。
副甲状腺は、甲状腺の裏側に上下左右2対(計4つ)存在する、米粒ほどの小さな臓器です。
血液中のカルシウム濃度を調節する「副甲状腺ホルモン(PTH)」を分泌しており、骨や腎臓に働きかけて体内のカルシウムバランスを一定に保つ重要な役割を担っています。
原発性副甲状腺機能亢進症
副甲状腺にできた腫瘍などが原因で、ホルモンが過剰に分泌される病気です。血液中のカルシウム濃度が異常に高くなる(高カルシウム血症)ことで、喉の渇き、多尿、便秘、筋力の低下などの症状が現れます。また、骨からカルシウムが溶け出すため、骨粗鬆症や尿路結石を引き起こしやすくなるのが特徴です。薬物療法と手術治療が選択肢となります。
副甲状腺機能低下症
副甲状腺ホルモンの分泌が不足し、血液中のカルシウム濃度が低下する状態です。手足や口の周りのしびれ、筋肉のけいれん(テタニー)などの症状が現れます。自己免疫異常や先天性の特発性副甲状腺機能低下症と、甲状腺手術や頚部の放射線治療の影響による続発性副甲状腺機能低下症に分けられます。いずれもカルシウムやホルモン補充療法を行います。
副腎は、左右の腎臓の上に位置する三角形のような形をした小さな臓器です。
生命維持に欠かせない「コルチゾール(ストレスへの対抗や糖利用・血圧の調節など)」や「アルドステロン(血圧やミネラル・水分などの調節)」「カテコラミン(血圧の上昇など)」といったホルモンを分泌しており、これらのバランスが崩れると全身に多彩な影響を及ぼします。
原発性アルドステロン症
アルドステロンが過剰に分泌され、高血圧や低カリウム血症などを引き起こす病気です。通常の高血圧に比べて脳血管障害や心疾患のリスクが高く、お薬が効きにくい「二次性高血圧」の代表的な原因として注目されています。治療には薬物療法と手術治療があり、病状により適応が異なります。
クッシング症候群
コルチゾールが過剰に分泌され、顔が丸くなる(満月様顔貌)、お腹周りに脂肪がつく(中心性肥満)、筋力低下といった特徴的な症状が現れる他、高血圧、糖尿病、骨粗鬆症などを引き起こします。
褐色細胞腫
カテコラミン(アドレナリン・ノルアドレナリンドパミン)が過剰に分泌され、突然の激しい頭痛、動悸、大量の発汗、急激な血圧上昇などを引き起こします。
副腎不全(アジソン病など)
生命維持に欠かせない副腎ホルモン(主にコルチゾール)の分泌が不足した状態です。
自己免疫疾患や結核などに伴う原発性副腎不全(アジソン病など)と、下垂体疾患や長期のステロイド治療、手術などが原因の続発性副腎不全があります。
強い倦怠感や食欲不振、体重減少、低血圧といった多彩な症状が現れます。
高血圧症の約10%に、ホルモンの異常や薬剤が原因で起こる二次性高血圧症があるとされています。
前述の原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫などが原因となっている場合があり、原因となる疾患の根本的な治療が必要です。若い頃から高血圧を指摘されている、これまで正常だった血圧が急激に上昇した、通常の内服薬が効きにくいといった場合には特に疑って精査をする必要があります。
当院では二次性高血圧症が疑われる場合にはスクリーニング検査が可能です。より詳細な検査が必要な場合には高次医療機関へご紹介させていただきます。
TOP